昼の部屋、暗がりで。
外気の暑さによる火照りは、なかなか収まってくれずにいた。
けれど、それでもジッと動かずにいたら、今度は寒いくらいに冷え始める。
昼間だというのに、とても暗い。
温度が上がらないようにという配慮なのだろうか。
昨今叫ばれている、エコロジーの為というのも、あるかもしれない。
「寒いかい」
私全体を震わせるような声が、優しく尋ねてきた。
くすぐったい。
甘さを含んだその声は、擦り切れるくらいに言い慣れたものだと感じた。
私以外にも、今まで何度となく使われてきたであろう台詞。
「そうね、少し」
私が言った言葉も、嫌になるくらい聞き慣れたものだったのかもしれないが、彼はそんなことおくびにも出さなかった。