絵本の中のあなた。絵本の外のわたし。
「そういえばお前名前何て言うの?」
「中野千歳です。」
「千歳っていうのか。俺はアシュレイ。勝手にいろいろ決めてごめんな。」
アシュレイはそう言い千歳の頭を撫でた。
城での暮らしは不自由がなかったが姫として扱われたので出掛けたり何をするときも付き人がついてきて一人でゆっくりできる時間が少なかった。
でも決して悪い事ばかりではなかった。
「千歳様ーっ!お待たせしましうぎゃぁっ!!」
千歳に向かって走ってきた女の子が派手に転んだ。
「ティナ大丈夫!?怪我してない?」
「えへへへへ…ごめんなさい千歳様。あたい鈍臭くって…」
ティナはそう言うと立ち上がり服についた砂を叩いて落とした。
ティナは城で働いているメイドで千歳と仲が良くよく一緒に出掛けたりしている。
かなりドジでおっちょこちょいだが人懐っこく何事にも一生懸命でいろんな人に好かれている。
何者なのかわからない千歳に初めて話しかけてくれたのも彼女だった。
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