大学生、それぞれの恋愛
「そ、そんなことないよ」
私は否定する。けれど太一の顔が頭に浮かんで、悲しくなった。
「香耶ちゃん、太一ね付き合ってるんだ」
三波くんの言葉が頭を何度も駆け巡った。
太一が付き合っている。
…誰と?
誰と?
私以外の誰と?
気がついたときには三波くんに尋ねていた。
「香耶ちゃんが知らない人だよ」
そんな風に言われても、私は信じられないし、三波くんがなにか本当は隠してるんじゃないか、とまで思ってしまった。
知らなくても良いから教えて、そう言う私に三波くんは苦笑いし、本当に知らない人だよ、と言った。
だけど…といって
三波くんは笑った。
「その彼女、香耶ちゃんにそっくりなんだ」