大学生、それぞれの恋愛
ねぇ、太一。
私はあなたの今の彼女が
私に似ていることを素直に喜んでもいいのかな?
まだあなたがどこかで、誰かのなかに私を求めていることを。
あなたはまだ私のことを好きだと思ってもいいのかな?
…私はまだあなたのことを好きでいてもいいのかな?
「香耶ちゃん、泣かないでよ…」
三波くんの言葉で我に返った。
私は知らないうちに泣いてしまっていたみたいで、三波くんが心配そうにハンカチを差し出してきた。
「ありがとう」
受け取った三波くんのハンカチからは優しい香りがした。
「香耶ちゃんを悲しませるために言ったわけじゃないんだけど…太一のこと話してごめんね」
申し訳なさそうに謝る三波くんに笑顔を向けて、私は思った。