大学生、それぞれの恋愛
「えと。どうかしたの?」
中津くんは困ったように、笑いながら窓の外を指した。
なんで気付かなかったんだろう。
こんなに外が大雨になっていたなんて。
「平沢さんは中に居ていいのに!」
「でも、これ全部を任せるのは悪いから。」
「でも…」
風も雨もすごい。
中津くんはいち早く大雨に気がついて、
外にある旗と看板をしまいに行くと言ってくれた。
だけど、私も今日のバイト仲間。
中津くん一人に任せるのは気が引けた。
二人で合羽を着て、それでもべちゃべちゃになりながら私達はなんとか飛ばされそうなものを店内にしまった。
「お疲れさん」
店内では店長がカウンターの向こうで笑いながら待っていた。
「ちょ、店長外やばいっすよ!
俺らべちゃべちゃですって!」
「平沢さんごめんなー、中津一人で行かせれば良かったね」
なんて店長ざふざけて言うから益々中津くんは膨れ面になった。
店長の図らいで、身体を拭いてから二人で温かいものを飲んでいいと言われた。少し早めの休憩ってわけだ。
普段の休憩では飲み物のサービスなんてないから、少しラッキーなんだけど。