大学生、それぞれの恋愛
「本当ベタベタだから嫌になるよね」
タオルで髪の毛を拭きながら中津くんが声をかけてきた。
中津くんの茶色の髪の毛が水分を含んでペタンコになっている。いつもと違う髪型になっていて、なんだか幼く見える。
「そうだね。」
私はあまり中津くんのほうを見ないようにしながら、自分で店内のドリンクバーでいれてきたココアを飲んだ。
一応中津くんの分も用意してあった。
ココアなんて甘いものでいいのか心配だったけど。
大学生にもなると、なんだかみんなブラックのコーヒーを飲むイメージがあったから。ただの勝手なイメージだけど。
「あ、平沢さんココアいれてくれたの?ありがとう!!」
横目で中津くんをみると、首にタオルをかけ、
両手でココアの入ったカップを持っていた。
「温かいものの中から勝手にココア選んじゃったけど、大丈夫だった?甘いのダメだったら変えてくるけど」
私が素っ気なく言ったにも関わらず中津くんは、大丈夫!とか言って笑っていた。
目尻をさげて、優しく笑う顔が可愛かった。
ただそれだけなんだけど。
ただそれだけのはずなのに。