Memory


黒髪の彼女の髪が、夕暮れに照らされ赤く染まる。


女の子はただ彼女を見上げた。自分と同じ…孤独の瞳を持つ少女の瞳を見つめながら…


彼女が女の子の頭を優しく撫でた。その瞬間ー…


―ポタッ


女の子の頬に小さな雫が落ちた。


慌てて彼女を見つめれば、彼女はその大きな瞳から大粒の涙を流していた。


「どこか痛いの…?
なんで…おねいちゃんまで泣くの?」


女の子は彼女が泣いている事に気づき、慌てて彼女の手を握る。


そんな女の子を彼女は涙を流しながら優しく抱きしめた。


「ずっと孤独だったんだね…
一人で頑張ってたんだね…」


震える声でそう呟き、女の子の頭を何度も何度も撫でる。







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