Memory
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「糸雨ちゃん!!」
校門で憐さんを待っていると、校門前に止まったシルバーの車の窓からから憐さんが顔を出した。
「憐さん!」
私は憐さんに駆け寄り笑顔を向ける。
よほど慌てていたのか、憐さんはシートベルトをしていない。
「憐さん、シートベルトしてないですよ。急いでる時こそしなくちゃ…」
「本当だ。糸雨ちゃんには頭が上がらないよ」
そう言う憐さんが何だかおかしくて笑ってしまう。
そんな私達を夏は仏頂面で見つめていた。
「何?」
憐さんの時とは打って変わって冷たい態度を取る私に夏はフイッと顔を逸らした。
「…何も。ただ…あの人の前では笑うんだなぁーって思っただけだ」
夏はボソボソと何かを呟くが全く聞き取れない。
「何?」
「何でもねぇ…」
ついにはそっぽを向いてしまった。
…何なの?変な人…