Memory
そんな瞳で私を見ないで…
今まで作っていた仮面が壊れてしまいそう。
辛くても苦しくても…
平気な顔して振る舞ってた…
なのに…
なんでこの人は私の固い仮面を壊していくのだろう…
「待たせたね。…糸雨ちゃん?」
遠くから走ってきた憐さんが私の顔を心配そうに覗き込む。
「…私は…今更やり直す事なんて出来ないんだよ…」
夏に背中を向けて車へと向かう。
信じては駄目。
許しては駄目。
私の中に在る絶望と痛みを忘れては駄目。
信じて求め、手に入った時。
後悔し、歎くのは自分だって分かってるから…