Memory
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「ご苦労様だったね、二人共」
仕事を終えた私達に憐さんは缶ジュースを渡した。
佐々木 舞衣さんは無事に見つかり、家族に保護された。
記憶を辿った通り、彼女は既に暴行を受けた後で酷く衰弱しきっていた。
所詮、私の力は辿るだけ。未来を見る力は無い。
「…りんごジュース…
ありがとうございます、憐さん」
私は弱々しい笑みを憐さんに向けた。
貰ったりんごジュースを大切に抱きしめる。
りんごジュースは私の一番好きな飲み物。
憐さんは仕事終わりに必ずりんごジュースを買ってくれる。
それがすごく嬉しかった。口にしたりんごジュースが乾いた傷だらけの心に染み渡る。
「…ありがとうございます」
隣で缶ジュースを受け取る夏の顔は暗い。
恐らく…早く此処から逃げ出したいのだろう。
私という存在から離れたい、そうに違いない。
「お疲れ様。
随分暗い顔をしてるんだね。分かったでしょ…私に関わるとろくな事がないの。これに懲りたら……」
「俺決めた!!」
"私に関わるのは止めて"と言おうとしたのに遮られる。