Memory
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気付いたら尻餅をついていた。痛めたお尻をさすりながら立ち上がると、目の前には夏がいた。
どうやら私が衝突したのは夏だったらしい。
「ごめん!!
怪我しなかった!!?
俺、全然前見てなくて!!」
先程の悲しげな顔が嘘みたいに笑顔を浮かべる。
私はつい夏の顔を凝視してしまった。
「あ、字祢!?どうした!?
俺の顔に何か…………」
「ついてないから」
自分の顔をペタペタ触る夏にそう返してその横を通り過ぎる。
「あ、字祢!!!」
名前を呼ばれたけど完全無視を決めた。
こういう奴は態度で分からせなきゃ駄目なんだ。
うっとうしくてやってらんないもの。
「字祢〜っ!!!!」
「………………」
「字祢〜〜〜〜」
「……あぁっもう!!!」
泣き出しそうな夏の声に負けて振り返る。
私が泣かせたみたいじゃない!!!