Memory
―ピチョン…ザーッ
「あーぁ…降ってきた…」
家から出てそんなに時間は経っていないのに…
ビニール傘をさしてゆっくと歩き出す。
制服姿で高校とは反対に進む。学校には単位を落とさない程度に行ってるから心配ないと思う。
なるべく人がいない方へと歩く。気付けば彼女と出会った公園に来ていた。
「ここに来るのは今日で何回目だろう…」
あの人に会いたくて何度も何度もここに来た。
でも、彼女を見つける事は出来なかった。
何度落胆して、何度願ったのだろう…
「つ、冷てぇ〜!!」
そんな事をぼんやり考えていると、騒がしい声が聞こえた。
声が聞こえた方に視線を向けると、焦げ茶色の髪に制服を着た男の子がタオルで髪を拭いていた。
「同じ制服…」
ボソリと小さく呟いたはずなのに、男の子はバッと振り返った。
「おっ!!
同じ学校の女の子!!」
振り返ったと思ったらビシッと指を指してきた。
「…………………」
私は無言で背を向ける。
絡まれる前に家に帰ろう。
「ま、待って!!」
―ガシッ
「!!!?」
いきなり腕を捕まれた私は驚いて男の子を振り返る。
―ピキンッ
「あう…ぁ…………」
映像が雪崩のように頭の中へと流れ込む。