嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-


パーティーは
派手に模様され、

最後のシャンパンタワーの時間になった。



マイクを持ったホストが
軽快なしゃべりで
アタシの名前が呼び、

リュウと一緒に
グラスが積み上げられたタワーの前に立った。



「リュウ、おめでとう☆」



アタシの祝いの言葉に、

リュウは耳元で
「ありがとう」と囁いた。



リュウがアタシだけのものになったと実感した。



2人で注ぐシャンパンが
キラキラと頂上から流れ落ちて行く。



イリュミネーションが
アタシたちを照らし、



気が付くと
何本ものシャンパンが注いでいた。



そのシャンパンは
他の客にも配られ、

リュウは調子に乗って
ラッパ飲みをして、

その場を盛り上げた。



すっかり酔っぱらったリュウは

グッタリと
アタシにもたれていた。


そんな子供ぽいリュウも大好きだった。



帰り際、
後輩ホストから伝票を受け取ったリュウは、

そのままアタシに手渡した。



金額なんてあまり気にしたことがなかったが、
伝票を見たとき、

「え?」と声が漏れた。


血の気が引くとは
こういうことだろう。


自分の目を疑った。



¥4725000



桁数を何度も指で数えた。


< 101 / 120 >

この作品をシェア

pagetop