嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-


「……リュ、リュウ?

リュウ?

ちょっと起きて!!」



腕を揺すりながら、
うつろな目をしたリュウに尋ねる。



「ね?!
これってホント?

アタシ、こんなお金持ってないよ」



「はぁぁ?」



目を擦りながら、
寝ぼけた返事をするリュウ。



「どうしたら良いの??ねえ??」



更に腕を揺すると、

「賭けで良いよ。賭けで。

でもちゃんと払えよ」



冷たい言葉が
アタシの胸に刺さり、

改めて真実を知った。



リュウにアタシを客としか見ていなかったのだ。



そして出来た借金を返済するために、

色んな金融会社から
借り捲くった。


でも毎月返済日はやってくる。


その返済が間に合わず、

緒川さんにお世話になったのだ。



「でもさぁ。
シホはホストにハマっちゃダメだよ!!

逆に貢がせないと!」



コーヒーカップを持ちながら、
ナツミが上目使いで言った。



ホントにその通りだと思う。



こんな痛い思いをしたのに、

リュウとは
まだ切れていない。


リュウのお店に今も通っているのだ。


アタシはホント、バカな女だ。


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