嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
周りは無数の白樺の木が
永遠に続くように立っている。
地面は小枝や枯れ葉が
敷き詰められたじゅうたんのようだ。
「とりあえず、
原田さんにメイクを直してもらって。
そして衣装に着替えてくれる?」
撮影台本を見ながら、
チェックする緒川さんの指示で、
二階の用意された部屋に入った。
メイクを直し、
用意された衣装に着替えていく。
そして
真っ白な新品の下着に履き替えた。
最初の衣装は、
短いスカートに
大きめなニットのセーター、
そしてルーズソックス。
原田さんに
ストレートアイロンをかけてもらい、
真っ直ぐに伸びた黒髪が
清純な雰囲気が漂わせた。
衣装とのミスマッチ加減が良いのだろうか。
緒川さんに衣装のチェックをしてもらうと、
「サイズも良いね。
セーターは肩が出るかな??
あと、中のブラは取ってね」
首周りが大きく、
腰を下ろすと
胸元がパックリを開いてしまうセーター。
緒川さんは
私のセーターを上下にズラしたり、
肩を出したり……
普通ならセクハラ行為だが、
私は黙っていた。
何だかこの時、覚悟が決まっていたのだ。
お父さんが勝手に契約した仕事だけど、
お金をもらった以上、
責任持ってやらなくてはならない。
泣いたりして、
周りを困らせたりするのはいけないって。
お土産屋さんで
お金を貰ったことで、
私が変わっていた。