嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-



「じゃ……行くよ。1回目……」



カメラマンの声で、
友井くんが前にいると思って

セーターを捲り上げた。



でも現実は、
腕を組みながら、
険しい顔をしている

緒川さんとカメラマン。



同じことを3回やった後、
納得したような緒川さんは頷いていた。



次に用意されていた、
Tバックの水着を身につけた。



赤の紐のような水着を着用すると、

原田さんが
私の胸を寄せてあげようと手を加える。


私の胸に小さな谷間が出来た。



緒川さんは
「良いよ!!」と私の肩を押し、

照明の当てられたセットの中に連れて行く。



「じゃ、寝転んでみて」



何もない冷え切った床の上で、
ゴロゴロと寝転ぶ。


そしてカメラのレンズをジッと見つめた。



また葛藤し始める自分が出てきた。



転がる私のお尻や胸ばかり強調して撮っていたからだ。



こんなことしちゃいけないと思う気持ちと、

責任持ってやらなくてはいけないと思う気持ち。



そんな葛藤も映されているのだろうか……。



その後、
水着姿にエプロンをして、

台所で料理を作った。



いつもやっていることだから慣れた手つきで進めて行く。


手際の良さに、
緒川さんと原田さんが感心していた。

でもカメラはTバックにエプロンという奇妙なスタイルばかり撮っていた。



そして日が少し落ちた15時。


< 110 / 120 >

この作品をシェア

pagetop