嘆きの天使-ｼﾞｭﾆｱｲﾄﾞﾙ葵の事情-

「……葵ちゃん、

どうかな？？……笑える？？」



レンズを覗きながら尋ねるカメラマンに、

私は小さく微笑むと、
そのままシャッターが数枚切られ、

「ちょっと、待ってね……」と、

パソコンに繋がれた画像を確認した。



「……んん。表情が固いな」



「確かに固い」



小声で呟くカメラマンと緒川さん。

すると、
緒川さんが私に振り返り、



「今日はね、
ビデオカメラで撮影することが
メインなんだ。

写真はジャケット用のものだから、
表情があったほうが良いんだ」



「……はぁぁ」



「とりあえず、
カメラマンの言うことを訊きながら
表情作ってくれるかな」



「……はい」



カメラマンが
またレンズを覗き、

私に話しかける。



「葵ちゃん、少し足を開いてくれる？？

……そう。

そして間に手を置いてみて」



私は言われた通りに足を開き、

その間に手を置いた。



「そう…そう…。

……良いね」



その後も指示通り、

三角座りをしたり、

ベッドの上で横になったり……。