嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-



「じゃ…
今度は、上の水着の紐を解いて、

手だけで押さえてみようか?」



「……えっ?」



原田さんが後ろに回り、

水着の紐をゆっくりと解く。



落ちそうになる水着のブラを
手で押さえ、

不安げな表情を浮かべる私を
見逃さないように、

カメラが回っていた。


その後ろで、
満足げに微笑む緒川さんが目に映った。



この人は
一体、何を考えているのだろう。



中学生の私に
こんなことをさせて平気な顔が居られるなんて……。



それから数十分、

私はまた言われるままの人形になった。



上のビキニは無くなり、

胸を手で隠しているだけの姿になると、

次はTバックのお尻を突き出すように指示され、

指を咥えながら小さく振り返る。



要求されたものを
次々から次へとこなし、

ただ耐えていた。



そして
カメラマンの「OK」という声に、

「……終わった」と
思った瞬間、

緊張の糸が音を立てるようにプチンと切れた。



その瞬間、
涙腺が緩み、

気が付くと涙が頬を伝っていた。


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