嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
「葵ちゃん、どうしたの?!」
原田さんの声に、
片付けているスタッフもこちらに目を向ける。
「何でもないです。大丈夫です……」
顔を手で覆い、流れる涙を隠す。
「とりあえず、
二階で着替えさせて。
あとメイクも取ってあげて」
緒川さんは急かすように原田さんに指示を出す。
「はい。葵ちゃん、二階に上がれる??」
肩を支えられながら、
ゆっくりと階段を上がり、
部屋に入ると、
とめどなく涙が溢れた。
そんな私を見て、
原田さんが肩を抱き締める。
「もう大丈夫。
終わったからね。
どんな事情があるのか
分からないけど安心して。
これで帰れるから」
そして頷く私の頭を優しく撫でた。
着替えを済ませ、
目を真っ赤にさせたまま1階に下りると、
セットは既に片付けられていた。