嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
「葵?
前から言おうと思ってたけど、
素直になっても良いよ。
色々
大変なのは分かるけど、
我慢しすぎ!!」
背中を擦りながら、
心配そうに見つめる
紗希に視線を向ける。
「……紗希?」
「どうしたの??」
「私……」
「んん?」
「……恋して良いのかな?」
一瞬、静まり返る廊下で
紗希は小さく溜め息をついた。
「良いに決まってるじゃん。
……どうして、
そんなこと訊くの?」
「私……、
普通の中学生と違うし……」
「葵は普通の中学生だよ!!
普通よりも可愛いよ」
「そうじゃなくて。
うちはお母さんもいないし、
家も大変だし、
普通に遊んだりも出来ないし。
皆みたいにデートだって出来ない」
私はみんなとは違う。
それに……
私はいけないこともした。