嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
無言のまま足を進め、
団地と隣接している
公園に辿り着いた。
激しく泣き叫んだ後の健太は
肩で息をしている。
「大丈夫?」
健太の背中を軽く摩ると、
「痛い!!」と声を上げた。
「ごめん。
……ちょっと見せて」
電灯の下で
健太の服をゆっくりと捲り上げ、
背中の傷を確認した。
すると背筋が凍りつくような
ジュクジュクとした痛々しい火傷があった。
目を瞑りたくなる。
私はハンカチに
水道水を含ませ、
背中に当てた。
「あ!!
イタァァァ!!
……ヒリヒリして痛い」
真っ赤な目で訴える健太。
まともに見ることが出来ない。
こんなこと気休めにしかならない。
早く手当てしなくては……。
焦る気持ちで見つめる背中には、
古い火傷も残っていた。
「健太?!
もしかして、
今日が初めてじゃないの?」
健太はうつむいたまま、
「二回目」と消えそうな声で答えた。
私は深くため息を吐いた。