嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
「ごめん。
言わなきゃ良かった……。
今の話は忘れて。
……ごめん」
気まずそうに言う姉ちゃんは
それ以上語らなかった。
でも重要なのは借金。
姉ちゃんはブランド物にハマり、
カードで買い物を重ね、
借金を作ったと言っている。
総額340万円。
どうしてここまで増えてしまったのだろう?
姉ちゃんの神経が理解出来ない。
「とりあえず、
俺も母さんも金ないし、
働くしかないよ。
ガソリンスタンドのバイト代が
10日後に出るから、
そしたら少しカンパするよ」
「うん。ありがとう。ごめんね……」
消えそうな声でお礼を言う姉ちゃんに、
俺は「うん」と
小さく答えた。
その後、
母さんはスナックの仕事を増やし、
俺もバイト代の半分を
姉ちゃんに渡すようになった。
きっと、
この頃から
俺の家族は狂い始めたんだ。