嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
梅雨が終わった生温い風が
頬に当たる。
団地の敷地内を出ると、
雑誌をどこに捨てようか
右往左往しながら歩いた。
橋の上に
たどり着いたとき、
川に捨てようと考えたが、
誰かに拾われたら
恥ずかしいのでやめた。
やっぱりゴミ箱しかない。
公園のゴミ箱は
誰かに拾われる可能性がある。
だったら、
回収率の高いコンビニのゴミ箱に
捨てるしかないと思った。
私はキョロキョロと
周りを見ながら、
コンビニまで足早になった。
店内から
明るい光が溢れている
コンビニに辿り着き、
自動販売機のとなりにあるゴミ箱の前で、
急いでカバンの中を開けた。
ピンク色の封筒を取り出し、
そのまま
ゴミ箱の中へ押し込むように突っ込んだ。
店内から出て来るお客と
一瞬目が合ったが、
何事もなかったように
その場から去ろうとすると、
「小阪??」という声がした。