嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
コンビニの前で、
まだ回収されていないで
ゴミ箱に目が留まる。
一刻も早く回収され、
あの雑誌は
この世から消えてしまえと思った。
「じゃ明日、学校で!!」
軽く右手を挙げる友井くんに、
私も「うん。今日もありがとう」と答えた。
お互いに背を向け、歩き出したとき、
「あのさ!!」
友井くんの声を背中に感じた。
振り返ると、
ジッとこちらを見ている
友井くんがいた。
「お前さぁぁ!
あんまり無理するなよ!
悩みがあるなら、
俺に言えよ!」
そして「じゃ!」と
大きく手を振り、
背を向けた。
胸に染みる言葉に
何も言えない私は
大きな友井くんの背中をジッと眺めていた。
友井くんの姿をずっと見ていたい。
もっと傍に居たい。
そんな気持ちが
鼓動をどんどんと加速させた。
私も心は普通の女の子。
好きな人に
優しい言葉をかけてもらうと
ドキドキして嬉しい。
そして、
もっと大好きになる。
でも友井くん……。
私はいけないことをした。
その証拠が
あのゴミ箱の中にある。
私は
暗く佇むゴミ箱を
恨むように見つめた。