嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
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大勢の人が歩く新宿。
キラキラしたメイクに、
短いスカートを履いた
同年代の女の子たちを見た後、
ショーウインドウに映る自分の姿に目を向けた。
普段着と変わらないジーンズを穿き、
上には色あせた赤のパーカー。
白のスニーカーだけは
自慢できるブランド品だけど、
シホちゃんからお下がりだ。
事務所のインターフォンを押すと、
緒川さんが
「こんにちは!」出迎えた。
中を覗くと、
数人の若い女性の声が飛び交っている。
「今、
他の子が打ち合わせしているけど、
気にしないで入ってくれる?」
私は小さく頷き、
中へ入って行くと、
「これヤダ!!
もっと胸が大きく見える写真が良い!!」
「私はこっちの写真が良いんだけど!!!」
「え!!ヤダヤダ!!
こっちにして~!!」
露出度の高い服を着た3人の女性が、
テーブルに広がるたくさんの写真を見ながら
向かいに座る男性に
好き勝手言っている姿が目に入った。