嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
“アダルトビデオ”略してAV。
男子がよく面白がって
“AV女優”という言葉を口にする。
エッチな深夜番組で
AV女優が
セクシーな格好で出演していたとか、
兄貴の部屋から
何とかというAV女優のDVDがあったとか……
耳にしていた。
そんなAV女優を
間近で見てしまった。
ビックリ……。
「あの子たちは
出演したDVDのパッケージの写真を
選んでいるところで、
みんな自分が綺麗に写っているものを使ってほしくて、
ワガママ放題なんだよ」
「そうですか……」
「葵ちゃんにそんなこと話しても分からないよね。
ごめんね」
「いえ……」
自己主張は大切なこと。
でも裸の自分をよく見せたいなんて、
私に全く理解が出来ない。
知りたくもない世界だった。
緒川さんとの話は、
そこから1時間ほど続いた。
明日の撮影は、
軽井沢のペンションを借りて行なわれることなった。
1作目の
“恥じらい”をテーマにしたものから、
今回は普通の14歳を見せてほしいと要望された。
だが、
私は裸になることに抵抗がある。
そんな気持ちで
笑顔になれるだろうか。