嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
「とりあえず、
結論が出たら連絡ちょうだい。
この企画、
君だからやってほしいだ」
「はい……」
資料をクリアファイルに入れ、
ヴィトンのカバンに
押し込んだ。
部屋を出ると、
ナツミたちも帰る支度をしていた。
ようやくパッケージの写真も
決まったようで、
担当スタッフは疲れ切った顔をしている。
「シホ?
この後、暇?
お茶でもしない??」
駆け寄るナツミは、
全身プラダで固めていた。
バックは出たばかりの新作だ。
「……うん。良いけど」
「じゃ!!決まり!!
……緒川さん!!お邪魔しました!!」
元気なナツミは
緒川さんやスタッフに手を振り、
私は小さく会釈した。
外は既に日が落ち、
新宿のネオンだけが
キラキラとしていた。
強い風が吹き、
ミニスカートから出た脚に
鳥肌が立つ。
「シホは今日、何しに来たの?」
「……えっ?
あぁ…
緒川さんに呼ばれて……、
仕事しないかって……」
ウソを付いた。
今日は私から電話をかけて、
仕事がほしいとお願いしたのだ。