花霞む姫君
「あら、花澄ちゃん?まあまあ大きくなって。」

と出迎えてくれたのは、翔太のお母さん。
私の叔母さんでもある。


「とりあえずあがってあがって。叔母さんの顔をみていきなさいよ。」


お、叔母さんの顔…
要するにそれって死んだ人の顔ってこと?

言われるがままに奥の広間へと通された。

お線香の匂いのする座敷には叔母さんらしき人が白い布団に寝かされていた。


ずっと会ってない、知らない人。

そんなイメージだったから。


顔にかかった白い布も、一応取ってチラッとみて、すぐにもとに戻した。


なんか見たくない。
どんな顔なのかすら、覚えたくない。

知らない人。

なのに。


「こうしてみると、伊世子さんと花澄は似てるわねぇ。」
「そうだな。若いころにそっくりだ。」

という親戚の叔父さん叔母さんたちの声がなんだか嫌だった。


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