花霞む姫君
「おい、翔太、翔太はいないのか」


翔太のお父さんが翔太を大声で呼んだ。

やっぱり居心地が悪かったのか、翔太は台所にいたようで、
大きなからだをかがめてのれんをくぐり、現れた。

「ここ、座れ。」

叔父さんに言われるがままに、仏頂面で座る翔太。

私ももしかしたらあんな風に見えてるかな。


「え~…」


叔父さんが咳払いをし、声をあげると。
それまでそれぞれ勝手に話し込んでいた親戚たちが、ぴたっと口を閉じ、叔父さんのほうをむいた。


みんな最初から、叔父の言葉を待ってたみたいだった。


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