花霞む姫君
姫の秘密
長い廊下を通り抜け、家の奥へ奥へ進む。
廊下は外に面しているから、夏とはいえ風が通って涼しい。
だんだん宴会の喧騒が遠ざかっていく。
もう外はしっかり日も落ちて、虫が鳴いていた。
渡り廊下の向こうに、おっきな蔵が見えた。
渡り廊下から直接蔵に入れるようになってるみたい。
こんなところ、来たことない。
お父さんがその扉の反対側にある一室の障子をあける。
するとそこには、翔太と叔父さん叔母さん――要するに翔太の両親がいた。
「まあ、そこに座りなさい。」
と叔父さんが言った。
さっきよりリラックスムードな叔父さん叔母さん、そして翔太。
お父さんもどっこらしょ、と胡座をかくと、ため息をついた。
「兄さん、ご苦労様だったな。あのうるさい親戚衆の前で。」
「仕方ないさ。親父が死んだときにその覚悟はついた。それにあいつらは結局口だけでなんにもしない。本家の権威を振りかざせば黙るしな。」
「それもそうか。」
と笑う二人。
廊下は外に面しているから、夏とはいえ風が通って涼しい。
だんだん宴会の喧騒が遠ざかっていく。
もう外はしっかり日も落ちて、虫が鳴いていた。
渡り廊下の向こうに、おっきな蔵が見えた。
渡り廊下から直接蔵に入れるようになってるみたい。
こんなところ、来たことない。
お父さんがその扉の反対側にある一室の障子をあける。
するとそこには、翔太と叔父さん叔母さん――要するに翔太の両親がいた。
「まあ、そこに座りなさい。」
と叔父さんが言った。
さっきよりリラックスムードな叔父さん叔母さん、そして翔太。
お父さんもどっこらしょ、と胡座をかくと、ため息をついた。
「兄さん、ご苦労様だったな。あのうるさい親戚衆の前で。」
「仕方ないさ。親父が死んだときにその覚悟はついた。それにあいつらは結局口だけでなんにもしない。本家の権威を振りかざせば黙るしな。」
「それもそうか。」
と笑う二人。