花霞む姫君
「あれ、それじゃなんで私が姫なの?」
「問題はまさにそこなんだ。」

と叔父さんが切り出した。

「堀内は、幕藩体制が終わってからも【家】としての存続は許されてきた。それはこの地域の安定を意味したからだ。しかもそれは代々直系の女児によって行われてきた。」

「はあ…」


なんか話が突然難しくなった気がする。

「ま、要するにだ。」

私のぽかんとした顔をみて、叔父さんが咳払いをした。


「代々、姫にのみ受け継がれる宝がある。 そこの蔵の中に。その宝を守ることこそが、堀内家の存在意義と言ってもいい。」


さっ…、と涼しい風が部屋の中を駆け抜けた。
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