花霞む姫君
「俺から話せるのはここまでだ。あとは花澄がなんとかしなさい。」


「えっ、私が?」


「そうだ。堀内の姫はお前だ。」


叔父さんは、私の前に鍵を差し出すと、 部屋から静かに出て行った。
おばさんやお父さんお母さんも続いて部屋から出て行き、翔太と私、二人きりになった。



…沈黙。



翔太は私と二人きりになると途端にしゃべらなくなる。


だけど、昼間会ったときよりかなり機嫌が悪いのは明らかだった。

そりゃそうか。
なにせ私と結婚することになっちゃったんだから。

…結婚?
…姫?


本当に突然のことで、夢みたいで実感がない。
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