花霞む姫君
「なんか…大変なことになっちゃったね。」


と話しかけてみるも、反応なし。

相変わらず何考えてるのか全然わかんないよ。
あ、いや、怒ってはいるな。


とりあえず鍵を手にとってみる。

シンプルな、先っぽが曲がってるだけの鉄の棒。
…こんなのが鍵なんだなぁ。


「それ、どうするんだ。」

わっ、びっくりした。
翔太が話しかけてきた。


「開けてみるのか、蔵。」

…と言われても。


「とりあえず、叔母さんのお葬式が終わってから…かな。」

と答えると、翔太の目が見開いた。

「そうか…何か嫌な感じがしたのはそれか。」

と翔太が言った。

「叔母さんの葬式も終わらないうちからこんなの、おかしいんだよ。親父も叔父さんも!人が一人亡くなってんのに、家がなんとか、姫がなんとかって!」


わあ、翔太がこんなに一気にたくさんしゃべったの、初めてみた。
しかもこんな大きな声で。
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