花霞む姫君
昇降口をでて、校門を出て、先輩はどんどん歩いていく。

ちょっと早足で、ついて行くのがやっと。

「あの、先輩、手を離してください。」

やっとそう言ったら、先輩は立ち止まってくれた。

「恥ずかしい?」
「…はい。」
「逃げない?」
「はい。」
「じゃ、離す。」

と、先輩はパッと手を離した。


「それと、私今日は…」
「堀内の家に行かないとなんだろ?わかった。そんなに遅くまで連れ回さないよ。」


やっぱり。
先輩は堀内の家のことを知ってる。

「これから、どこへいくんですか?」
「まあ、ついておいで。」

とにこやかに先輩は歩き出した。


いつも通学につかう最寄り駅を通り過ぎ、踏切を渡り、街の中へむかう。

やがて街をも通り過ぎると、
公園にたどり着いた。
< 43 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop