花霞む姫君
「なにこれ。」

何度も見直す。

鏡に汚れがついているわけじゃない。

私のおでこに、何かついてる。

指でこすってみても落ちない。

それはちょうど、先輩の唇がふれた場所。
いまだに熱をもっている気がする。


「キスされたって、ここ?」

まゆみちゃんが怖い。

「えっと…」

「口じゃなかっただけマシなのかしらね。」
とお母さん。

「ほかには、なにもされなかった?どんな話したの?」

「えっと…結婚してくれって言われて…」

「結婚!」
「向こうも本気なのかしらね。」
「おばさん、どうしよう!花澄がこんな…」

軽いパニックなまゆみちゃん。

私はなぜだか頭がクラクラする。
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