花霞む姫君
「何言ってんの?この時代にお姫様とか、馬鹿じゃない?」
「お前に話してるんじゃないよ。どけ。」
「この…っ」
「まゆみちゃん!やめて!」
「花澄、こいつ頭おかしいよ。うちの制服着てないし。外部の人?先生に言いに行こう。」
「今日転校してきたんだ。仕方ないだろ。」

「はあ?」

またもや二人同時に声がでた。

「じゃあこの人が噂の…?」
「もう噂になってるの?うれしいなぁ。」

やっぱり変な人だ。
なんで転校早々、私のこと知ってるんだろう。

名字も堀内じゃないのに。

堀内のお嬢様?

「花澄、行くよ!」
まゆみちゃんが私の手を引くと、転校生――市ノ瀬克巳は私の反対の手をつかんだ。

「覚えておいてね。俺の…花嫁になるんだから。」

は、花嫁?
彼女じゃなく?

硬直する私を、まゆみちゃんがぐんぐん引っ張って校門まで連れ出してくれた。
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