犯罪的関係♥

『その財布、俺の』
私の手から乱暴に取った。
せっかく拾ってあげたのに…
感謝の言葉もないの?

『盗むつもりだっただろ』

『盗むわけないでしょ?
どうせガキの財布の中なんて
たいしたことないんだから』

私がそう言うと、その少年は
財布の中を見せてきた。
『わっ』

諭吉がたくさん!!

『たいしたことないって?』

『…すごいね。
お母さんから盗んだの?』

『バカじゃねーの?
小学生ならやるだろーけど
俺は見た目を生かして
金稼いでるんだよ』

見た目?
そうか。こんなにカッコイイんだもん、
使わないと損だよね。
だとしたらモデル?
モデルにしては背が…

『モデルにしては背が低いんだ』

『は?
モデルなんか、やるかよ…
結構安いんだぜ。モデルって』

『じゃあ何してるのよ』

『知りたいか?
なあ、教えてやるから
今日アンタんち泊めてよ。
家出して泊まるとこねーし…』

『友達いないの?』

あ、
ぐさっときたみたい。

『いねーよ!!』

『いいよ。
但し君は床で寝ること』

『うるせー姉ちゃんだな』

ガキだけど、コイツと話すのは
なんか楽しい!

『名前は?なんてゆーの?』

『俺?翔だけど。姉ちゃんは?』

『加奈子。加奈子さん、って呼んでね』

『やだよ。姉ちゃんでいい』
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