精一杯Love
カチャカチャと食器の音だけが食堂に響く。
いつ見てもさびしい食事風景だと思う。
「母さん、俺、学校行ってくる」
弟のつかさはそういうと食べたものの食器を片づけ、学校に行ってしまった。
時計を見ると、7時50分。私の家から学校までは10分ほどで行けるので、もうすぐ家を出る時間。
「お母様、ごめんなさい。これ以上はいらない。私も学校行ってきます」
「あ、萌加…これお弁当ね。行ってらっしゃい」
お弁当を受け取り、玄関に向かう。メイドさんたちが私を見送る。
…溜息をつきたい。どうしてこの家はこんなに堅苦しいんだろう。いるだけで肩がこる。
「お嬢様、おはようございます」
そう言った車の運転手の白石さんは恭しく頭を下げる。
「おはよう。今日もよろしくね」
そして、私は車に乗り込む。…昔、自転車で登校してたら、家族のみんなに怒られた。
…駄目なのかな?新菜家の長女だから自転車が駄目ってほんと…誰が決めたんだろ。