精一杯Love

カチャカチャと食器の音だけが食堂に響く。


いつ見てもさびしい食事風景だと思う。

「母さん、俺、学校行ってくる」


弟のつかさはそういうと食べたものの食器を片づけ、学校に行ってしまった。



時計を見ると、7時50分。私の家から学校までは10分ほどで行けるので、もうすぐ家を出る時間。


「お母様、ごめんなさい。これ以上はいらない。私も学校行ってきます」


「あ、萌加…これお弁当ね。行ってらっしゃい」


お弁当を受け取り、玄関に向かう。メイドさんたちが私を見送る。


…溜息をつきたい。どうしてこの家はこんなに堅苦しいんだろう。いるだけで肩がこる。



「お嬢様、おはようございます」


そう言った車の運転手の白石さんは恭しく頭を下げる。


「おはよう。今日もよろしくね」



そして、私は車に乗り込む。…昔、自転車で登校してたら、家族のみんなに怒られた。


…駄目なのかな?新菜家の長女だから自転車が駄目ってほんと…誰が決めたんだろ。


< 2 / 43 >

この作品をシェア

pagetop