精一杯Love
「…そう。司も毎晩のように何をしているのかしらね…。
萌加、何か知ってる?」
「…ううん。司にも何かあるんでしょ」
階段をのぼりながら私はお母様の問いに答える。
さすがにお母様に「司は夜遊びに出かけた」なんて言うわけには…いかなかった。
そんなこと言ったら…司が責められるのは分かってたから。
“新菜家の長男”のレッテルを貼られている司は自由には行動できない。
けど、夜の時間くらい司に自由をあげてもいいんじゃないか…って司をみて思ってしまった。
…とりあえず、私はお父様の元に行った。
「失礼します」
重そうな書斎の扉をあけると、大きな椅子に腰かけていた。
「で、話と言うと」
「あぁ…。萌加、佐野コーポレーションは知っているな?…実は、そこと狙っているところが被ってしまってだな」
…つまりはこういうことなんじゃないか。
「私に…佐野に潜入して佐野の情報をつかんで、内部から佐野をつぶす準備をしろと?」