ヴァンパイアと人間
着いた先はめったに使われない資料室
「なに、」
翔琉があたしと向かい合う
「実桜に言わなきゃいけないことがある」
「うん...」
きっと、ヴァンパイアのこと?
「智乃が勝手に言ったらしいけど...」
やっぱり...
「俺はヴァンパイア」
聞きたくない一言だった
「涼子も、俺と同じヴァンパイア」
「なんで、隠してたの?」
「実桜に言って、関係が崩れるのが嫌だったから」
「あたしの血が、欲しかっただけ?特別な血だから、そばに置いておきたかったの?」
だから...姫様なんて言ったの?
「違う、そんなんじゃない」
「嘘...!!」
「聞いてほしいんだ」
翔琉があたしの腕を掴む
その手はとても冷たくて、
まるで死んだ人のような冷たさだ
「もしそばに置いておきたかったなら、付き合うなんてことはしない。実桜を彼女だなんて紹介しない」
じゃあなんで...
なんで付き合ったの...?
「なんで...キスしてくれないの...?なんで...何もしてくれないの...?」
「実桜を、汚したくはない。昔から言われてんだ。人間とヴァンパイアが体で繋がったら、人間が消えるって。だから...実桜には消えてほしくない。実桜にはずっと...そばに居てほしいと願うから」
翔琉があたしを抱き締めた