ヴァンパイアと人間
横を通り過ぎると智乃君も一緒についてきた
「雅樹君は?」
「アイツなら委員会かなんかで残ってるよ」
「待ってなくていいの?」
「アイツに頼まれたんだよね~」
頭を掻く智乃君
「アイツ?」
って誰?
「翔琉に頼まれたんだ。他のヴァンパイアが寄らないように、俺が一緒に帰ってやれって」
「翔琉が...?」
どうして?
どうしてそんなことさせるの?
...あたしの血が必要だから?
自分のものにしておきたいから?
「違うよっ!!」
「え?」
智乃君はあたしの前に立って、そう言った
その目は泣きそうで
「たしかに...実桜の血は必要だよ。だけど...アイツは実桜自身に惚れ込んでる。血なんか要らない、実桜と繋がりたいって...思ってるよ!!」
なんで...そんなの...
「ヴァンパイアってね、思ってること全部分かるんだよ。だから実桜ちゃんが不安になってる時も翔琉は全部分かってたんだよ。翔琉は言うタイミングが掴めないって。言わなきゃいけないって分かってても実桜ちゃんを離せなかったんだよ」
「翔琉が...?」
智乃君は頷いた
「今は受け入れられなくても、いつか絶対受け入れてあげて。実桜ちゃんは、特別な血の持ち主でもあるけど、翔琉には血がなくても実桜ちゃんが必要なんだよ。受け入れられたら、翔琉のそばに居てあげてくれない?」
智乃君...
「...分かった...」
あたしは頷いた