ヴァンパイアと人間
「実桜、何もなってねえ?」
「うん...」
何も...ない...
「良かった...」
翔琉が抱き締める
なんで...?
なんで抱き締めてくれるの...?
バイバイって言ったのに...
別れたのに...
「俺が別れると思うか?俺は実桜自身に惚れてるんだよ。だから...実桜には俺のそばに居てもらう。拒否権なんてねえから」
「うん...うん...」
嬉しくて頷いた
「にしてもあの男、なんで翔琉のこと知らないんだろうね?」
涼子が呟いた
「知らねー」
「だって翔琉、人間の世界で過ごしてんだもん。知らなくてもしょうがなくね?」
「だからって俺、一応写真とかあんぜ?」
翔琉って一体何者...?
「俺?俺はー...なんて説明しよう」
「翔琉はヴァンパイアの王子だ」
雅樹がボソッと言った
「お...王子!?!?」
「雅樹、勝手に言うなよ」
「へーい」
王子って!?
お偉いサンでしょ!?
人間の世界に居ていいの...?