ヴァンパイアと人間


「俺らにそんなことは出来ない。でもいずれ、親父から受け継ぐだろうな。俺か涼子か...」


「そしたらもう...」


あたしは泣き出した


「えっ!?実桜!?」


涼子が慌てる


だけど翔琉は冷静にあたしを抱き締めた


「一緒には暮らせねえ。実桜の記憶からも、俺らと過ごした記憶は全部消し去る。それを覚悟で俺らは実桜と関わってきた。記憶がなくなれば、実桜は楽になるから」


嫌だ...そんなの...やだよ...


「実桜...」


寂しすぎるよ...それ...


「記憶...から...消えちゃうの...?」


「そうだ。全部...消える」


「嫌だよ...」


首を左右に振る


「そういう決まりなんだよ」


翔琉の声は冷静で、冷たかった


「実桜が嫌がっても、親父が許さねえんだ。親父は人間を、道具としか思ってねえ。ただ血を吸わせてくれる都合のいい生き物だと思ってる」


「...じゃああたしが説得する」


「は?」


4人は目を見開く


「あたしが翔琉と涼子のお父さんを説得させてみせる」


「はぁ!?無理だ、絶対!!!」


雅樹が叫ぶ


「なんで無理なの?分かんないよ、そんなの。あたし、会ったことまだないし」


「だからって...」


「親父は人間に耳を傾けねえよ、絶対」


それでもいいよ、別に









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