ヴァンパイアと人間


「君が安達実桜ちゃんか?」


「...はい、そうですけど」


ムスッとした口調で答える


「翔琉に血、吸われたか?」


「吸われましたけど」


「だったら翔琉、この人間を消しちゃいなさい」


「嫌です」


翔琉は無表情で答える


「じゃあこの中でこの子を消せる人は居ないのか」


誰も何も言わずに王様を見据えてる


「...涼子」


「あたしには出来ません」


「智乃と雅樹は」


「俺には絶対出来ません。実桜ちゃんを消すなんて...」


「俺も同じです。消したくありません」


「お前ら...薄情ものが」


「親父、人間と関わってみろよ」


「ケッ。そんなこと出来るか。自分勝手でヴァンパイアをこの世界から追放して...許せるわけがない」


王様はそっぽを向いた


「...あの」


あたしは遠慮がちに声を掛ける


「貴方があたし達人間に何されたかは存じ上げません。でも、関わりもしないのに決めつけるのはやめてください。性格は人それぞれ違い、個性ってものがあります。その個性をしっかりと見てください」


王様はあたしの瞳をじっと見つめる


青い瞳が


「...うるさい。たかが人間の分際が...この俺に口を利くな」


「痛ッ...」


痛みとともに、体が言うことを効かなくなった










< 45 / 90 >

この作品をシェア

pagetop