ヴァンパイアと人間
「君が安達実桜ちゃんか?」
「...はい、そうですけど」
ムスッとした口調で答える
「翔琉に血、吸われたか?」
「吸われましたけど」
「だったら翔琉、この人間を消しちゃいなさい」
「嫌です」
翔琉は無表情で答える
「じゃあこの中でこの子を消せる人は居ないのか」
誰も何も言わずに王様を見据えてる
「...涼子」
「あたしには出来ません」
「智乃と雅樹は」
「俺には絶対出来ません。実桜ちゃんを消すなんて...」
「俺も同じです。消したくありません」
「お前ら...薄情ものが」
「親父、人間と関わってみろよ」
「ケッ。そんなこと出来るか。自分勝手でヴァンパイアをこの世界から追放して...許せるわけがない」
王様はそっぽを向いた
「...あの」
あたしは遠慮がちに声を掛ける
「貴方があたし達人間に何されたかは存じ上げません。でも、関わりもしないのに決めつけるのはやめてください。性格は人それぞれ違い、個性ってものがあります。その個性をしっかりと見てください」
王様はあたしの瞳をじっと見つめる
青い瞳が
「...うるさい。たかが人間の分際が...この俺に口を利くな」
「痛ッ...」
痛みとともに、体が言うことを効かなくなった