ヴァンパイアと人間
「親父」
翔琉が冷たく呟く
「お前に出来ないなら俺がやる。お前らに人間なんて必要ない。想いを抱いてしまったなら消せ。そんな想いは血を吸うのに必要なさすぎる」
あたしの体は勝手に翔琉に近付く
あたしに何をしろって言うのさ!!
「お前にこの人間が消せないなら、この人間の手でお前を消してやる」
はっ!?!?
「お父さん!!やめてよ!!」
涼子が叫ぶ
「涼子、何もするなよ」
「翔琉まで...実桜がそんなことするわけないしあたし達には絶対実桜を消せない!!!」
涙目になりながら涼子が叫ぶ
「人間に必要などない」
あたしの手が勝手に翔琉の腕を絞める
翔琉は表情を変えずにあたしの目を見つめる
ねえ、翔琉
翔琉の目にあたしはどう映ってる?
いつものあたしに見える?
それとも...汚染されたあたしに見える?
「実桜、お前はお前だ。もし、実桜の意思じゃなくとも俺が実桜に殺されたって俺は実桜を恨むようなことは絶対しない。俺は...実桜と関われて良かった」
翔琉...?
「実桜、俺と出会ってくれてありがとう」
翔琉が静かに目を閉じた
「い...や...だ...!!!」
「っ!?」
あたしは全身に力を入れて、振り払った
そのまま翔琉を抱き締める