ヴァンパイアと人間


「お前ら...俺に刃向うつもりか」


「当たり前だろ。親父に人間の良さが分かるか?自分から人間を避けた親父が」


「うるさい」


王様が怒りかけてる


「翔琉、やめなって」


「実桜に...何が分かるって言うんだよ」


翔琉があたしを睨む


その瞳は少し赤くて


「...分かるわけない。だけど、翔琉に人間に生まれた気持ちが分かるの?そりゃヴァンパイアはいいよね?能力が使えるから好き勝手出来て。でも、人間はそうじゃない。自分の努力でやらなきゃいけない」


全部...


「努力出来なきゃ、どんどん抜かされて...結局周りには誰も居なくなった...」


あたしは密かに小学生の時を思い出した


あたしの周りにはいつも誰かが居てくれた


だけど、気付いたら1人ぼっちだった


みんなとちょっと違った特徴があって、ちょっと勉強が出来たからって...


みんなが離れていくのが分かった


「ヴァンパイアに、それが分かるの?ヴァンパイアにしか分からない苦しみや痛みはあるだろうけど...勝手に血を吸われる人間の気持ちも考えずにゴミみたいな扱いはしないでくれませんか?」


「.....」


翔琉は黙り俯く


「諒一さん、もう二度と人間の世界には下りないでください。他のヴァンパイアが寄ってきてしまいます」


「....悪かった。じゃあな」


王様はそのまま姿を消した


あたしのことは何も言わずに...


あたし、生かされるの?


このまま、みんなと一緒に居れるの...?









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