ヴァンパイアと人間
『しょうがねえだろ。いつもの癖なんだから』
癖ってアンタね...
『俺が行きたい場所。別にいいだろ?行っても』
「行かせないよ」
「なっ!?」
智乃君があたしの腕をしっかりと握る
「誰?実桜ちゃんの中に入ってる人は」
「...誰だろうね?」
あたしも分かんない
「ヴァンパイア、じゃねえだろな?」
「俺がヴァンパイア?ンだそれ。ヴァンパイアなんて居んの?」
「いや...まあ...」
智乃君が言葉を濁す
あたしだって...信じてなかったよ...
「とにかく!!実桜ちゃんは返して」
「嫌なこった。せっかくいい体見つけたんだ。絶対離してたまるかっつうの」
「だからって...」
「いいの、智乃君。...この人の好きなようにさせてあげてよ」
「実桜ちゃん...」
とにかく、今日は帰ろうよ?
『ンでだよ。もうここまで来れねえじゃねえか?』
また必ずここに戻るから、ね?
『...絶対だからな?』
もちろん
「しょうがねえ。今日は帰ってやるよ」
でも、みんなの前では引っ込んでてよ!?
『へいへい』