ヴァンパイアと人間


「実桜!!どこ行ってたんだよ!?」


「別に。何処も?」


『素直に言っちゃえよー』


だから黙ってなさいよ!!


「お前、誰としゃべってんだよ?」


「誰だろうね」


あたしだって名前、聞いてないし


「実桜、あなたは...」


「お母さん、もう黙っててよ。あたし、ヴァンパイアなんでしょ?でも、ヴァンパイアになるつもり一切ないから」


『アンタ、ヴァンパイアなの?』


違う


ヴァンパイアになるつもり全然ない


『ふーん』


あたしは絶対違う


普通の人間だもん


「実桜、オレンジジュース飲む?」


涼子が持って来てくれた


「ありがと、涼子」


涼子からオレンジジュースを受け取る


「実桜、ちょっとは落ち着きなよ?」


「え?」


「最近、焦りすぎだよ?あたし達は絶対どこにも行かないから」


「...うん」


オレンジジュースを飲みながら曖昧に頷いておく


どうせ、どっか行っちゃうんでしょ?


どうせまたあたしは、1人ぼっちなんでしょ?


みんな、あたしを1人にしちゃうんでしょ...?












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