ヴァンパイアと人間
「ここ、着いた」
何処...これ...?
綺麗な花畑
あたしの体はゆっくりとその中を歩く
「俺が1番好きだった、最後に...来たかった場所」
雅樹君が遠慮がちにあたしの後をついてくる
「...アンタ、誰なんだよ」
「誰だろうな、俺」
くるりと振り返って雅樹君と向き合う
花畑の中で
まあ...普通だったらいい場面なんだろうけど...
今話してるのは男だしね...
「けど、ここに来れて本当に良かった」
そりゃぁ良かったですね...
『ありがとな、実桜』
へ?
今、あたしの名前呼んだ...?
『ヴァンパイアだっけ?拒んでも、しょうがねえよ。お前が選ぶんだから俺ァこれ以上言わねえけど...人間になりたいなら人間のままで居ればいいし、ヴァンパイアの仲間になりてえならなればいい。実桜、お前は絶対1人じゃねえ』
え...?
「おい、お前」
「...俺?」
雅樹君を指差すあたしの体
「他の連中に言っておけ。...実桜を傷つけたら俺がお前らの体に乗り移ってやるってな」
...あたしの体で怪しく笑うなぁ!!
「...分かってる、言われなくても」