ヴァンパイアと人間


「ここ、着いた」


何処...これ...?


綺麗な花畑


あたしの体はゆっくりとその中を歩く


「俺が1番好きだった、最後に...来たかった場所」


雅樹君が遠慮がちにあたしの後をついてくる


「...アンタ、誰なんだよ」


「誰だろうな、俺」


くるりと振り返って雅樹君と向き合う


花畑の中で


まあ...普通だったらいい場面なんだろうけど...


今話してるのは男だしね...


「けど、ここに来れて本当に良かった」


そりゃぁ良かったですね...


『ありがとな、実桜』


へ?


今、あたしの名前呼んだ...?


『ヴァンパイアだっけ?拒んでも、しょうがねえよ。お前が選ぶんだから俺ァこれ以上言わねえけど...人間になりたいなら人間のままで居ればいいし、ヴァンパイアの仲間になりてえならなればいい。実桜、お前は絶対1人じゃねえ』


え...?


「おい、お前」


「...俺?」


雅樹君を指差すあたしの体


「他の連中に言っておけ。...実桜を傷つけたら俺がお前らの体に乗り移ってやるってな」


...あたしの体で怪しく笑うなぁ!!


「...分かってる、言われなくても」










< 61 / 90 >

この作品をシェア

pagetop