ヴァンパイアと人間
「そ。ならいい」
雅樹君に背を向ける
『もうこれで大丈夫。少なくとも俺は実桜の味方だから。どんな姿になっても、実桜の心が少しでも残ってれば俺はお前を救い出す』
そんな...大袈裟な...
『大袈裟でもなんでもいい。...じゃあ、ありがとう』
「あっ...」
体から何かが抜けた気がした
「大丈夫か?」
雅樹君があたしに声をかける
「大丈夫だよ」
振り返って笑って答えて空を見上げる
「...戻って行ったのか?」
「多分ね」
あたし、大丈夫なのかな
...このまま人間で過ごしたい
「分かった。それ、翔琉にも伝えろよ」
「翔琉に?」
「あぁ。アイツならなんとかしてくれるはずだから」
「んー...」
翔琉に頼るのかぁ...
気が引けるなぁ...
「でも翔琉に言え。頼れよ。アイツはお前の彼氏なんだろ?」
「そうだけどねぇ...」
迷惑じゃないかな?
あたし、ちゃんと役に立ってるかな?
...立ってない気がする